悩める若手大学職員のブログ

今後のキャリアプランに悩む大学職員です。日々感じたことや読んだ文献を記事にします。更新は不定期です。

感想:大学SD講座1〜4

大学SD講座(書籍検索 - 玉川大学出版部)を4冊を読み終えました。

実際は読み終えてから1ヶ月近く経っているので、読後すぐのフレッシュな感想はどこかへいってしまいましたが、夏期の連休を利用してざっと読み返したので感想をまとめます。

 

1:中井俊樹編『大学の組織と運営』(大学の組織と運営 - 玉川大学出版部

  • タイトルのとおり、大学を取り巻く状況や大学の組織や構成員の特徴、大学の運営上の仕組みについて概説されており、大学という組織を理解する最初の一冊として良いかも。就職活動で大学業界を志望する方におすすめ。
  • 最近、組織論に関心があるので、大学の特徴としてのルースカップリングへの言及が興味深かった。

2:中井俊樹編『大学教育と学生支援』(大学教育と学生支援 - 玉川大学出版部

  • 通しナンバーが2なのに出版が一番遅かった一冊。大学における教育・学生支援について概説。大学職員がどのように教育に貢献するのかについて、正課内教育での関わり方だけでなく、正課外活動での関わり方もカバーしている。
  • 学生への関わり方について、様々な道筋(可能性)を提示してくれているため、大学職員の中でも「学生のために!」という気持ちが強い方にとっては、キャリアプランを考えるうえでの参考になるかも。
  • 学生と関わる部署にいるので、学生の発達(チカリングの理論)についても知ることができたので良かった。また、これまでの自身の業務の振り返りにもなった。

3:中井俊樹・宮林常崇編『大学業務の実践方法』(大学業務の実践方法 - 玉川大学出版部

  • 大学で働くうえでの業務の進め方について、参考となる考え方や知識を紹介してくれている。
  • ビジネス研修で学ぶような内容も多く、章によっては大学に限った話ではないものもあり。

4:竹中喜一・中井俊樹編『大学職員の能力開発』(大学職員の能力開発 - 玉川大学出版部

  • 指導をする立場、能力開発をアレンジメントする立場から、大学職員に必要な能力開発の知識を紹介している。そのため、これから能力をどう伸ばしていこうか考えている人にとっても参考にはなると思うが、どちらかというと「部下をどう指導しようか」「研修をどのように実施しようか」を考える立場の人の方が参考になる点は多いかもしれない。
  • 職業人の能力開発という視点で色々な概念を紹介していることもあり、「大学で働くいち職業人としてどのように能力を開発していくかを紹介している本」と言える。

 

【全体を通して良かった点】

  • 大学職員になりたい人にとっては大学業界を知ることができ、大学で働く若手職員にとっては自分自身の働き方の見直しや大学職員としてのキャリアを考えるうえで参考になる本だと感じた。手元に揃えておいて損はなさそう。
  • 巻末の資料が良い。高等教育関連の年表や各種中教審答申がまとめられており、調べたい事項があったときには索引として活用できる。
  • また、職員だけでなく、大学運営における要職(教学関連の委員や学部長など)に就く大学教員にとっても、大学という組織を改めて知るうえで参考になるはず。

 

【全体を通して気になった点】

  • すでに大学職員として長年キャリアを積み上げてきた人には薄味な内容かもしれない。
  • 2巻の存在もあり、シリーズ全体を通じて「教育」機関としての大学で働く大学教職員を意識した内容になっている。大学のもう一つの大きな目的である「研究」の支援に関わる内容がもう少しあってもよかった。

 

このシリーズ「大学SD講座」は前から気になっていましたが、現時点で全4冊ということもあり読むのは躊躇していました。しかし、今年は大学職員になって3年目ということもあり、自分自身のキャリアを考える参考文献としてこのシリーズを購入しました。個人的には特に2巻『大学教育と学生支援』が面白かったです。今年は引き続き、自身のキャリアを考えるうえで参考となるような本を読んでいきたいです。