悩める若手大学職員のブログ

今後のキャリアプランに悩む大学職員です。日々感じたことや読んだ文献を記事にします。更新は不定期です。

学会に行ってきました:大学教育学会2019年度課題研究集会

2019年度11月30日・12月1日に開催の大学教育学会2019年度課題研究集会に参加してきました(参加といっても、発表者ではなく完全なる聴き手としてですが…)。

今回は、学会で聞いたこと・学んだこと・考えたことを簡単にまとめたいと思います。

 

ポスターセッション

会場に到着した時間が遅かったこともあり、しっかりと見られたポスターは5本くらいでしたが、特に面白いと感じたのは以下の2本です。

①ゼミの実態調査

・概要と感想

今回の発表はゼミナール教育についての量的な実態調査をまとめたものでした。ゼミナール教育は日本の大学教育の数少ない強みとして言及されることがある一方で、その実態に関する研究はそれほど多くない教育形態でもあります。実態調査なので単純な度数や割合を把握するにとどまっていましたが、今後もさらなる調査を進めるそうなので、とても楽しみです。

・考えたこと

ゼミ(演習)での教育は教員による研究指導がメインで、各大学で行われるFDではあまり扱われないコンテンツだと感じています。ゼミナール教育の実態を明らかにしていくことは、ゼミでの教育方法を開発することにもつながりますし、今後日本のゼミ教育がどういう捉えられ方をされて、どんな議論が起こるのかも気になります。

これまでの高等教育研究では、AL、IR、FD、SDなど海外(主にアメリカ)のものを有り難がる傾向にあるので、その反動として、日本に昔からある「ゼミナール教育」を再評価する流れが近い将来必ず来ると個人的には予想しています。

②大学院生へのプレFD

・概要と感想

大学院生に授業としてプレFD(講義で活きる教授法が中心)を行なっているという発表内容でした。後述のとおり大学教員に「教育」の知識・技術を身につける機会を提供する必要があると考えていたので、素晴らしい取り組みだと思いながら発表を聞いていました。

・考えたこと

発表者の方ともお話ししましたが、講義に活きる教授法のFDだけでなく、ゼミなどの少人数教育で活かせるような知識・スキルについてもプレFDの中で教えられると良いと考えています。

教務課の職員として先生方にゼミ生の修学指導をお願いすることがありますが、「研究のプロではあるけれど教育のプロではない先生方に、問題を抱える学生の指導をしてほしいと頼むのはおかしいのでは…?」と考えることが度々あります。一部の大学(ex.早稲田大学同志社大学など)のように組織的な学習支援体制が整っていればそこを紹介すればいいのですが、そんな大学は数える程度しかありません。

不本意入学生、配慮が必要な学生、基礎学力が低い学生など多様な学生がいる中で学生の指導に苦慮する先生方も多いと思います。そんな先生方のためのFDの機会を提供するのも私たちの仕事なのではないかと考えるようになりました。

 

開催校シンポジウム

高等教育研究者、企業人、文科省官僚、音大の学長、というまとまりのないメンバーがパネリストとして話し合うので、途中までは「まとまらないのでは…?」と思っていましたが、司会の先生の立ち回りもあってかそこまで取っ散らかることがなかったので、少し安心しました。

記憶に残っている発言・提案としては

・授業は先生の持ち物ではない。教育課程の中に位置付けられるものであり、学生のものである。

・日本の大学の失敗だけでなく、成功体験についても分析が進められるべきではないか。

などが挙げられます。

これらについてはまた機会があれば自分の考えをまとめられればと思っています。

 

課題研究シンポジウムⅢ

エキスパートジャッジメントの話でした。何か書き記せるほど十分に理解はできなかったのですが、Assignment Charette (アサインメント・シャレット:大学教員が自身の講義の課題を持ち寄り、グループで互いにその課題を確認し、教育プログラム上妥当な課題となっているのかを検討する)という取り組みが印象に残りました(綴りと読みに自信がありません…)。この点ももう少し理解を深めてから記事にしたいと思います。

 

ほとんどがポスター発表の感想文ですが、以上が今回の学会の記録です。

学会に行くと色々なモチベーションが上がります。研究へのモチベーションも上がって「来年度の課題研究集会ではポスター発表をする予定です」と指導教員や兄弟子に言ってしまいました…。

あと学会では専門書を20%引きとかで買えるのも良いですよね。今回は斎藤先生の著書を購入しました。年末年始休暇の課題図書にしたいと思います。

www.toshindo-pub.com

以上、予想より長くなりましたが、学会記録でした。